「アイノラのつどい」新得公演ご報告
【北海道支部 “アイノラのつどい vol.5” ご報告】
文・駒ヶ嶺ゆかり
北海道支部は年間2回の「アイノラのつどい」を企画しております。
1回はホームである札幌の「奥井理ギャラリー」にて、北欧作品を中心とした音楽を様々な企画として開催し、もう1回は、広い北海道の各地で地元のご協力を頂きながら、シベリウスの作品を中心とした演奏会を開催させて頂くものです。昨年の幕別公演に続き、今年2回目となった道内公演は、新得でその願いが叶えられました。
新得町は全国的にも美味しいお蕎麦の生産地として知られておりますが、最近はなんといっても熊が出没する場所として話題になっております。我々が伺った8月下旬あたりから、熊に出逢う確立が非常に高くなるとの事・・・開催日も新得教育委員会と、我々と、熊の“ご都合”など考慮し決定されました。そして熊に遭遇しない事を切に祈るばかりの日程となってしまいました。しかし幸い当日は“どしゃぶりの雨”。我々の存在は熊には届かなかった模様です。
そのような森の中の一角に、昔の小学校を現在は夏季限定の演奏会場として手を加え、地元の教育委員会と有志の方々の努力によって演奏会が長く続けられている素晴らしい場所がありました。
新得町【新内(にいない)ホール】 ※各画像はクリックで拡大します。


当日はJR新得駅から送迎バスが用意され、嵐にも拘わらず十勝管内の様々な場所から、30名ほどの方々が駆け、大変熱心に耳を傾けて下さいました。プログラムを決める段においても「思い切り北欧作品をお聞かせ下さい。皆さんその方が喜ばれます」と仰って下さり、我々も気合を入れプログラムを決めました。
この度は、歌・ヴァイオリン・ホルン・クラリネット・バスクラリネット・ピアノの編成でしたので、それぞれのソロ演奏に加え、これまで演奏してきたシベリウスの作品の他に、歌曲「狩人の少年」と、グリーグの『ペール・ギュント』からの5曲に編曲依頼しました。そしてその響きは、古い木造の建物と一体になり北欧音楽の持つ奥深い色彩が、周りの自然からスピリッツを得て、ますます豊かなものとなったように感じられました。
(※プログラムの詳細につきましては、こちらからご覧いただけます。)
終演後出発するバスを気にしながら、一人の女性が駆け寄っていらして、涙ぐみながら「北欧の音楽には以前から憧れのような思いを持っていました。生で聞いてとても懐かしい気持になり、心が揺さぶられました。」と告げて行かれました。このような言葉を頂けましたこと、私たちも感動を持って受け止めました。そしてシベリウスやグリーグから与えられているものの大きさを感じずにはいられませんでした。
後片付けを終え会場の外に出ると、どしゃぶりの雨がすっかり止み、緑の香りが漂う力強い闇でした。大自然の夜を肌で感じた瞬間でした。ふとその中に秋の匂いも感じました。
この度は、正に北海道の大自然に共感しながら、北欧の大作曲家の二人にスポットを当てさせて頂きました。私達にとっても忘れられない演奏会となりました。
*
今回、浜島泰子協会員と賛助出演の山田美穂氏からも新得公演のご感想を寄せていただきました。
以下にご紹介いたします。
*
浜島 泰子(協会員・ヴァイオリニスト)

去る8月20日、新得町にて新内ホール主催のコンサートを「アイノラのつどいVol.5」として開催させて頂きました。演奏会の前半はグリーグの作品を、後半はシベリウスの作品でプログラムをまとめました。
グリーグ作品のメインは、音楽物語“ペールギュント“より5曲を選曲し、山田美穂さんが出演者の編成に合わせ素敵な編曲に仕上げて下さり、語りを交えて演奏させて頂きました。
歌曲やクラリネットによる小品に加えて、私はヴァイオリン・ソナタ第3番より第1楽章を演奏させて頂きました。予てよりこの作品はいつか演奏してみたい曲の一つでしたので、今回その機会を頂けたことは非常に嬉しく幸せな気持ちで演奏させて頂きました。
後半のシベリウス作品では、会員それぞれがソロ演奏致しました。私は以前の「アイノラのつどい」でも演奏させて頂いた“マズルカ”と“ノヴェレッテ”を再び演奏させて頂き、新たな発見もありとても勉強になりました。
また今回の公演の為に、山田美穂さんに編曲依頼した歌曲“狩人の少年”は、ヴァイオリン・ホルン・バスクラリネットのアンサンブルで歌われるという珍しい編成に挑戦しました。ヴァイオリンが登場人物の心情を、ホルンが狩りの様子を、バスクラリネットと歌がデュエットを奏でるという、素敵な編曲にして下さり、この作品の魅力が豊かに表現されていたのではないかと思いました。
新内ホールは廃校となった校舎をホールとして改装された会場で、大自然の中にありグリーグやシベリウスの作品がその自然と溶け合い、木造の校舎いっぱいに響き とても贅沢で幸せな時間を過ごさせて頂くことができました。
アイノラのつどいの道内公演は、これまでに今回の新得と昨年の幕別と開催させて頂きました。これからも北海道支部としての貴重な演奏の機会を道内各地に求め、シベリウスを通した音楽の輪が全道へ広まるような活動をしていきたいと思います。
*
山田 美穂(友情出演・クラリネット/編曲)
北海道支部の皆様には以前から編曲者としてお世話になっていましたが、今回は演奏者としても参加させていただきました。
前半はグリーク、後半はシベリウスの作品でまとめた今回のプログラムは、この編成としてはなかなか珍しいものだったのではないでしょうか。個人的ではありますが、編曲の面での新たな取り組みとして、ピアノの入らない歌の伴奏という形に挑戦させていただきました(「ソルヴェイグの歌」と「狩人の少年」の2曲)。ヴァイオリン、ホルン、バスクラリネットと歌という組み合わせに、新たな可能性を感じました。もちろん、原曲の持つ美しさや世界観があってのものです。編曲という作業をした上でさらに一緒に演奏させていただくことで、より作品そのものの持つ深みや音楽性の高さを実感することができました。共演の機会をいただきありがとうございました。
北海道支部の皆様には、北欧の音楽の魅力をさらに多くの方にご紹介くださいますよう、これからも素敵な活動を続けていただきたいと思います。
*
今回も多くの方々からあたたかなご協力とご支援をいただき、「アイノラのつどい vol.5」を無事開催することが出来ました。
お聴きくださった皆様、また昨年の幕別公演の際もお世話になった調律師の方、そして新得町の皆様に改めて心より感謝申し上げます。
夜の森を背景に演奏するシベリウスとグリーグの音楽は、演奏する我々にとってもまたひとしおの感興を与えられるものでした。この素晴らしい自然にもまた感謝をしつつ、次回3月の北海道支部札幌公演に向けて、一同また着実に準備を重ねて参りたいと思います。

(写真後列左より:上田博美会員、山田美穂氏、浜島泰子会員、駒ヶ嶺ゆかり会員、前列:木村悠子会員)
♪♪♪
文・駒ヶ嶺ゆかり
北海道支部は年間2回の「アイノラのつどい」を企画しております。
1回はホームである札幌の「奥井理ギャラリー」にて、北欧作品を中心とした音楽を様々な企画として開催し、もう1回は、広い北海道の各地で地元のご協力を頂きながら、シベリウスの作品を中心とした演奏会を開催させて頂くものです。昨年の幕別公演に続き、今年2回目となった道内公演は、新得でその願いが叶えられました。
新得町は全国的にも美味しいお蕎麦の生産地として知られておりますが、最近はなんといっても熊が出没する場所として話題になっております。我々が伺った8月下旬あたりから、熊に出逢う確立が非常に高くなるとの事・・・開催日も新得教育委員会と、我々と、熊の“ご都合”など考慮し決定されました。そして熊に遭遇しない事を切に祈るばかりの日程となってしまいました。しかし幸い当日は“どしゃぶりの雨”。我々の存在は熊には届かなかった模様です。
そのような森の中の一角に、昔の小学校を現在は夏季限定の演奏会場として手を加え、地元の教育委員会と有志の方々の努力によって演奏会が長く続けられている素晴らしい場所がありました。
新得町【新内(にいない)ホール】 ※各画像はクリックで拡大します。


当日はJR新得駅から送迎バスが用意され、嵐にも拘わらず十勝管内の様々な場所から、30名ほどの方々が駆け、大変熱心に耳を傾けて下さいました。プログラムを決める段においても「思い切り北欧作品をお聞かせ下さい。皆さんその方が喜ばれます」と仰って下さり、我々も気合を入れプログラムを決めました。
この度は、歌・ヴァイオリン・ホルン・クラリネット・バスクラリネット・ピアノの編成でしたので、それぞれのソロ演奏に加え、これまで演奏してきたシベリウスの作品の他に、歌曲「狩人の少年」と、グリーグの『ペール・ギュント』からの5曲に編曲依頼しました。そしてその響きは、古い木造の建物と一体になり北欧音楽の持つ奥深い色彩が、周りの自然からスピリッツを得て、ますます豊かなものとなったように感じられました。
(※プログラムの詳細につきましては、こちらからご覧いただけます。)
終演後出発するバスを気にしながら、一人の女性が駆け寄っていらして、涙ぐみながら「北欧の音楽には以前から憧れのような思いを持っていました。生で聞いてとても懐かしい気持になり、心が揺さぶられました。」と告げて行かれました。このような言葉を頂けましたこと、私たちも感動を持って受け止めました。そしてシベリウスやグリーグから与えられているものの大きさを感じずにはいられませんでした。
後片付けを終え会場の外に出ると、どしゃぶりの雨がすっかり止み、緑の香りが漂う力強い闇でした。大自然の夜を肌で感じた瞬間でした。ふとその中に秋の匂いも感じました。
この度は、正に北海道の大自然に共感しながら、北欧の大作曲家の二人にスポットを当てさせて頂きました。私達にとっても忘れられない演奏会となりました。
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今回、浜島泰子協会員と賛助出演の山田美穂氏からも新得公演のご感想を寄せていただきました。
以下にご紹介いたします。
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浜島 泰子(協会員・ヴァイオリニスト)

去る8月20日、新得町にて新内ホール主催のコンサートを「アイノラのつどいVol.5」として開催させて頂きました。演奏会の前半はグリーグの作品を、後半はシベリウスの作品でプログラムをまとめました。
グリーグ作品のメインは、音楽物語“ペールギュント“より5曲を選曲し、山田美穂さんが出演者の編成に合わせ素敵な編曲に仕上げて下さり、語りを交えて演奏させて頂きました。
歌曲やクラリネットによる小品に加えて、私はヴァイオリン・ソナタ第3番より第1楽章を演奏させて頂きました。予てよりこの作品はいつか演奏してみたい曲の一つでしたので、今回その機会を頂けたことは非常に嬉しく幸せな気持ちで演奏させて頂きました。
後半のシベリウス作品では、会員それぞれがソロ演奏致しました。私は以前の「アイノラのつどい」でも演奏させて頂いた“マズルカ”と“ノヴェレッテ”を再び演奏させて頂き、新たな発見もありとても勉強になりました。
また今回の公演の為に、山田美穂さんに編曲依頼した歌曲“狩人の少年”は、ヴァイオリン・ホルン・バスクラリネットのアンサンブルで歌われるという珍しい編成に挑戦しました。ヴァイオリンが登場人物の心情を、ホルンが狩りの様子を、バスクラリネットと歌がデュエットを奏でるという、素敵な編曲にして下さり、この作品の魅力が豊かに表現されていたのではないかと思いました。
新内ホールは廃校となった校舎をホールとして改装された会場で、大自然の中にありグリーグやシベリウスの作品がその自然と溶け合い、木造の校舎いっぱいに響き とても贅沢で幸せな時間を過ごさせて頂くことができました。
アイノラのつどいの道内公演は、これまでに今回の新得と昨年の幕別と開催させて頂きました。これからも北海道支部としての貴重な演奏の機会を道内各地に求め、シベリウスを通した音楽の輪が全道へ広まるような活動をしていきたいと思います。
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山田 美穂(友情出演・クラリネット/編曲)
北海道支部の皆様には以前から編曲者としてお世話になっていましたが、今回は演奏者としても参加させていただきました。
前半はグリーク、後半はシベリウスの作品でまとめた今回のプログラムは、この編成としてはなかなか珍しいものだったのではないでしょうか。個人的ではありますが、編曲の面での新たな取り組みとして、ピアノの入らない歌の伴奏という形に挑戦させていただきました(「ソルヴェイグの歌」と「狩人の少年」の2曲)。ヴァイオリン、ホルン、バスクラリネットと歌という組み合わせに、新たな可能性を感じました。もちろん、原曲の持つ美しさや世界観があってのものです。編曲という作業をした上でさらに一緒に演奏させていただくことで、より作品そのものの持つ深みや音楽性の高さを実感することができました。共演の機会をいただきありがとうございました。
北海道支部の皆様には、北欧の音楽の魅力をさらに多くの方にご紹介くださいますよう、これからも素敵な活動を続けていただきたいと思います。
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今回も多くの方々からあたたかなご協力とご支援をいただき、「アイノラのつどい vol.5」を無事開催することが出来ました。
お聴きくださった皆様、また昨年の幕別公演の際もお世話になった調律師の方、そして新得町の皆様に改めて心より感謝申し上げます。
夜の森を背景に演奏するシベリウスとグリーグの音楽は、演奏する我々にとってもまたひとしおの感興を与えられるものでした。この素晴らしい自然にもまた感謝をしつつ、次回3月の北海道支部札幌公演に向けて、一同また着実に準備を重ねて参りたいと思います。

(写真後列左より:上田博美会員、山田美穂氏、浜島泰子会員、駒ヶ嶺ゆかり会員、前列:木村悠子会員)
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